2015年2月20日金曜日

入院三日目:手術

手術当日。朝7:30に浣腸。
「便が出たらチェックするので見せてくださいねー」
という言葉はしっかり聞いていたのだけれど、便意に耐えるためにトイレに持ち込んだ漫画に夢中になって、つい流すボタンを押してしまう。
流れていく水状の便を見ながら、取消ボタンがあったらいいのになーといちおう探してみるが、やはりそんなものはない。需要がない。普通。
看護師さんに正直に白状すると、昨日検査でどうせ空っぽだから大丈夫とのこと。

8:30からドクターの説明を受ける。
心配して横浜から2時間かけてやってきた母と一緒だ。
MRIやエコーの画像をみながら、丁寧に説明してくれる。
「深くて、複雑な痔瘻なので、通常の浅い痔瘻とは同じ痔瘻という名前は付いてますが、別のものだと考えたほうがいい」
とのこと。
痔瘻のタイプは1型から4型までの4タイプに分類され、数字が大きくなるほど症状が深刻になる。
私のは3型と4型の間くらいで、非常にやっかいだとのこと。
「これくらい切りますよ」
と、ドクターが手で輪を作るのだが、最初直径10cmくらいだったのが、だんだん大きくなる。
最後は直径30cmくらいになった。いや、それはさすがにないだろうと。
真に受けた母が
「それじゃまっすぐ座れなくなるかもしれないんですか?」
と聞くと
「そういう可能性もありますね」
とドクター。
いやいや、リスクがないと言い切れないのはわかるけど、そんなことにはならないでしょうと思いつつ、とりあえず母が納得したようなので、説明会終了。

(参考:痔瘻のタイプについて)
http://daichoukoumon.com/zirounotypenituite.html

点滴を入れて、9:15から手術。
まずはエビのように丸くなって背中に腰椎麻酔。
これで下半身の感覚がなくなる。はず。
というかこの腰椎麻酔自体が痛い。
腰椎麻酔用に局所麻酔とかできないんだろうか。

麻酔の効きを確かめてから手術開始。
あれ?鎮静剤使って朦朧とするんじゃなかったっけ?
頭すっきりしてて意識はっきりなんですけど。

まあそれはそれでいいかと思い直し、そのまま続行。
うつ伏せの状態で、ガムテープみたいなテープで尻を広げてベットに固定。
レーザーメスの「ぷー」という機械音とともに、肉の焦げる臭いが。。
うーん。

執刀は私の主治医であるベテランのドクターと、若いドクター(研修医?)のペア。
いろいろ勉強させないといけないんだよね、しょうがない。
私のケツを献体として捧げよう。

「そこはこうしたほうがいいんだよ」
とか
「さあここから原発巣までどうやって掘り進めていくか」
とか
「これは筋肉だから切っちゃだめね」
とか
「全部切らないで少し残すのがコツなんだ。どれくらい残すかは経験なんだけど」
などというやりとりが聴こえてくる。
その間も断続的にレーザーメスの「ぷー」という音が聞こえてくる。
主治医「これ、そっちに置いといて」
看護師「また同じ皿いいですか」
と、何回かに分けて肉片を切り取っているようだ。

やっぱ鎮静剤入れてもらえばよかったかな。。

たぶん30分くらいで、手術は終了。
手術直後にストレッチャーで別室に運ばれて、男性看護師による導尿管の挿入。
そのとき自分の足に机があたってて嫌だったので
「なんかあたってます?」
と聞くと
「感覚あるんですか??」
と驚かれた。実はちょっと親指も動く。
「手術は痛くなかったですか?」と聞かれ
「金玉をぶつけた時のような痛みと下痢した時のような痛みがありましたけど、こんなもんかと思ってました」
と答えたら笑ってた。
一緒にいた女性看護師が
「そこぶつけるとどんな感じなんですかー?」
と会話に入ってきて、男性看護師が
「男じゃないとわからないですよねー」
と答え、その後さらに護身術の話などで和やかなムード。

後続の方で不安な方には鎮静剤の使用をお勧めします。


部屋に戻って3時間、飲み物禁止。
明日の昼まで絶食。
翌朝までは頭をあげてはいけない。
腰椎麻酔の影響で髄液が漏れていた場合に危険だからだそう。
寝たきりだ。
かなり不自由だ。

唯一のメリットはトイレにいかなくてよいこと。
導尿管が入ってるから尿が自動的に出て行く。
便は出ない。材料がない。

3時間後、飲み物が解禁になる。
ここぞとばかりにポカリを飲みまくる。寝たままストローで。
糖分だ。食事ができない今、空腹を満たしてくれるのは、糖分だ。

なにせいくら飲んでもトイレに行かなくていいのだ。
シロナガスクジラが海水からプランクトンを濾し取るように、ポカリスエットから糖分を濾し取る。

看護師さんに
「そんなに飲まなくても大丈夫ですよ」
とたしなめられる。
(大丈夫かどうかは俺が決めることだ)
と思いつつ、口の中が甘ったるくなったので、水に切り替えた。



麻酔が切れても思ったほど痛くない。
というか全然痛くない。
痛み止めのせいかな。
傷口の状態はわからない。


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