2015年2月25日水曜日

入院九日目:発症から入院まで

今回は、なぜ入院することになったのか、その経緯を書いてみる。
解禁になったコーヒーでも飲みながら。




話は、5年ほど前に遡る。

ある日、お尻におできのようなふくらみができた。
日に日に膨らんでいき、痛くなってきたが、放置すれば治ると思って放置していた。
ところが、ついに座れないほど痛くなり、40度近い熱が出た。
インターネットで検索すると、どうも「肛門周囲膿瘍」というやつらしい。

どのサイトをみても、切開するしかないと書いてある。
この痛みから解放されるなら、切開でもなんでもしてくれ。
ということで、隣駅の肛門科の診療所を受診。
案の定、「肛門周囲膿瘍です。すぐに切開します。」と言われる。
「化膿していると麻酔が効かないので、麻酔はしません。肛門科の治療で一番痛いですけど、我慢してくださいね。」と言われ、切られ、指でぎゅーっと膿を押し出される。
無茶苦茶痛い。
いや、本当に痛い。
当時はそういうもんだと思っていたが、そうではないことをつい最近(入院してから)知った。

#####(以下、下記ページより引用)#####
http://www.wound-treatment.jp/next/wound400.htm

【局所麻酔をしないで膿瘍切開!】
いるんですよね,こういう馬鹿医者。麻酔しないで皮膚を切ったら痛いってことを知らないらしいのですから,医療の素人より無知です。さらに豪傑医者になると,「化膿していると麻酔の注射が効かないから,麻酔の注射をしても無駄」と説明して,無麻酔で切開する医者もいます。無麻酔で切開なんて19世紀のお医者様としか思えません。ここまで来ると能無し医者レベルじゃないでしょうか。

#####(引用ここまで)########

まさにその「豪傑医者」だった。
そのクリニックは、気がついたら廃院になっていた。
結構若い医者で、クリニックも綺麗だっんだけど、治療が19世紀じゃねぇ。。
そりゃ客も来なくなるわ。


それはそれとして、その麻酔なしの処置のときに、
「炎症が落ち着いたら根治術が必要です。入院しての手術です。1ヶ月くらいして傷が落ち着いたら予約してください」と言われていた。
でも、症状がおさまってしまえば、わざわざ予約してまで自分の体を切りたいとも思えず、放置した。
その後、たまに膿が溜まるものの、指で押し出せばなくなる、という状態が5年続く。


今思えば、あれは1型から4型まである痔瘻(じろう)の2型で、筋間痔瘻と呼ばれる痔瘻だった。現在治療中の複雑痔瘻に比べると、「同じ痔瘻という病名だが、別物」と言われる、シンプルなものだ。あの時に手術しておけば良かったような気もするし、「豪傑医者」にやられなくて良かったような気もする。


そして、去年の10月末。
忘れていた、あの痛みがやってきた。
5年前に経験した、あの痛みだ。
最初は「これは違う。なにかの間違いだ。またいつものように膿が出て楽になる。」と自分に言い聞かせていたのだが、痛みは日に日に増していく。
とうとう我慢できなくなり、肛門科を受診。
前回切られた豪傑医者のクリニックは廃院になっている。
会社の先輩に教えてもらった、肛門業界では有名なクリニックへ。


このクリニックは院長が人気らしい。
その日、院長は不在で、別の医師に診てもらう。
触診。
「なんともないですねぇ。もう少し様子を見ましょうか。5年前の筋間痔瘻は、折を見て手術したほうがいいですが、それ以外はなんともありません。しばらく様子をみましょう。一応、痛み止め出しときます。」
と言われる。
「えー、そうなのか。大したことないのに騒ぎすぎたのか。」
と思い帰宅。
数日間放置。

・・・痛い。
どんどん痛くなる。
ここまで痛くなれば医者も切らざるを得ないだろう、という状態になってから、同じクリニックを再受診。

こんども院長は不在。
診てくれたのは前回とは別の医師だ。
(院長は特定の曜日にしかおらず、その曜日は大変混雑するとのこと)

触診と内視鏡検査。
内視鏡検査の時、一緒にカラー画像を見ながらやるんだけど、突然血が映った。
「あ、切れ痔になっちゃった。大丈夫。2、3日で治ります。」
うーん。。もうちょっと、すみませんとかなんとか、言い様がないものかね。
検査終了。

「検査した限りでは、なんともないです。そこまで痛いと言うなら切開してみます?」
と言われる。
お願い、切って。

局所麻酔をして、切開。
「・・・なんにも出ないです。脂肪がピンクになってるくらいです。炎症もないですね。今度エコー検査しましょうか。来週水曜日(6日後)に院長が来るので、その時にできます。予約していってください。その結果を見てからですね。痛み止めまだありますよね。」
と言われる。
エコー検査は院長にしかできない、難しいものらしい。
毎週水曜日にしかやってないそうだ。
それまで待て、と。
そうか、急ぐ必要ないのか。
大した症状じゃないんだ。
おれが痛みに弱いだけなのか。
ところで、何も出なくても切っただけで8千円もとられるんだな、当たり前か。
無意味に切られたあげくに、切れ痔になっちゃったな。
まあ、お願いしてやってもらった結果なんだし、仕方ないか。
なんか、もともとの痛みに、いくつかの痛みがプラスされちゃったな。
などとモヤモヤしつつ帰宅。

その二日後。
土曜日で会社は休み。

・・・・・・い、痛い。痛すぎる。
院長のエコー検査まではまだ4日ある。
我慢できるか?できるかもしれない、でも、したくない。
なにかおかしい。
切れ痔でも切開した傷でもない、カラダの奥が痛い。
解熱鎮痛剤飲んでるのに、熱も上がったままだ。
絶対に炎症があるはずだ。
触診でも内視鏡でもわからないどこかに・・・


そうだ、CTだ。
CTスキャンすればわかるんじゃないか。
体を輪切りにしてもらうんだ。

ということで、CT設備のある大きな肛門科専門病院へ。
痛みと高熱の中、電車に揺られて一時間。

フラフラしながら受付を済ませ、受診。
担当は副院長だ。
これまでの経緯を話すと、
「すぐCT撮りましょう」と言われる。
診察室から出て、別の階の放射線ルームへ。

CT撮るのに1時間弱の待ちがあり、放射線技師に謝られた。
いやいや、全く問題ないです。
ついに敵を追い込みつつあるんです。
待ちます、待ちます。

1時間くらいでCT撮ってもらって、また診察の列に並んでから再度診察。

開口一番
「・・・なんでこんなになるまでほっといたんですか!」
と言われる。

いや、ほっといてないから。
二回も受診してそのうち一回は無意味に切られてるから。

「深いところに直径6センチくらいの膿が溜まっています。緊急手術します。入院してください。」とのこと。
あー、やっぱり。
そうそう、そういう深刻度だと思ってたんだよ。
ここに来て良かった。
なにより、この苦痛を理解してくれる人に会えたことが嬉しかった。
病状がひどいと聞いて安心するという、奇妙な感覚。
「つらかったでしょう。よく我慢されましたね。」と言ってもらえた。
やっと味方に会えた。

さあ、緊急手術へゴー。

坐骨直腸窩膿瘍に対する切開排膿ドレナージ術、みたいな術名だった気がする。

腰椎麻酔で下半身麻酔。
深いところにある患部まで切開して、膿を出す。
内部の膿が排出されるよう、ぶっといストローみたいなもの(ドレーン)を2本留置して終了。
お尻から固くて太いストローが生えている感じ。
一泊入院して、翌朝10時に退院。
昨日までの苦痛が嘘のように無くなっている。
あの苦痛に比べたら、ケツに切り傷があろうが、そこからストローが生えていようが、楽勝だ。

それが去年の11月。


1週間か2週間して、ストローを抜いて、ゴムの輪と取り替える。
そのゴムも数週間で自然に取れてしまった。
ゴムが取れた頃、エコー検査をして、MRIも撮って、根治術の話になる。
12月末だった。

第一弾として、深いところにある原発巣(膿が溜まっているところ)を取り除く。
その際、皮膚側を広く、紡錘形(たけのこ型)に肉を掘る。
もし細長く掘ってしまうと、表皮側から傷が治り、深いところにまた膿が溜まるとのこと。
だから、たけのこ型に掘る。
たけのこの先端から治っていくように。
で、そのたけのこ型にほったところに輪っかを通しておく。
(概ね↓の感じ。)
http://daichoukoumon.com/zakotutyokutyoukazirounosyuzyutu.html

第二弾では、数ヶ月かかって輪っかを包むように肉が盛り上がってくるのを待ち、輪っかを抜き、輪っかの周りにできた 管状の穴をくりぬく。
という計画。


今回の入院は、その第一弾の手術。
入院は2週間の予定。


つまり、これで退院して終わりではないのだ。
肉の盛り上がりを待って、数ヶ月後、細い管状になっているはずの患部に対するくりぬき術(?)が行われる予定だ。
すべてが計画通りに進めば、だが。



ちなみに、5年前の筋間痔瘻の方も、今回の手術で同時に治療してくれている。
瘻管(膿を抜いた後にできる管状の穴)をくりぬいてシートン法の糸入りのゴム管を通してある。
こちらは、この糸を徐々に締めていき、肉を徐々に切り、糸がポロリと取れれば完了。


深部の複雑痔瘻と浅い筋間痔瘻、両方合わせて、今後1年程度は闘病生活が続くことになる。
しばらくは体液の滲出(しんしゅつ)が続く。
生理用ナプキンが手放せない。

以上、 発症から入院までの経緯でした。


実は、緊急手術になる前、クリニックで「水曜日にエコー検査」してくれる予定だった院長と、今回入院して第一弾手術を執刀してくれた主治医は、同一人物なのだが、それはまた別の話。





今日の体重:
90.5kg
(-0.7kg)

着実に減っているような・・・

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